車業界の違和感

日本の自動車業界の量産設計部は工場と言っていい。設計工場なのだ。大量生産のモノづくりのやり方をそのままアルゴリズム開発に持ってきて悉く失敗する。専門性、向き不向き構わず、人が足りなければ単なる労働力として人を持ってきて、一箇所に固めてたくさん喋ってベラベラワーワーやらせれば、高度なアルゴリズム開発ができる、何でも乗り越えられる、と桁外れに勘違い。大量生産のモノづくりは今までそれでうまくできたかもしれないが、アルゴリズム開発にそれは通用しないのだ。

「新卒で入社したホンダを3年で退職しました」記事の件を検証する

記事:新卒で入社したホンダを3年で退職しました
https://honda.hatenadiary.jp/entry/2018/09/17/175609
(抜粋)

私は本田技術研究所栃木(通称HGT)と呼ばれる
ホンダの四輪R&Dセンターに所属してしました。
業務分野は自動車業界で今、最も注目されている先進安全、自動運転に関係する
場所でした。

研究所と名前が組織がついているなら
技術開発は当然の仕事なんじゃないか?
そう思われる方も多いかもしれません。

私の所属していた場所ではホンダの社員は
全く技術開発をおこなっていませんでした。

ではどうやって先進安全や自動運転の機能開発をおこなっていたか?
実態はサプライヤーと呼ばれる部品メーカーに技術開発を丸投げしておりました。
ホンダのプロパー社員の仕事はサプライヤーの日程管理と部品の不具合が出た時に
サプライヤーを叱責するということが主たる業務でした。

じゃあ、ホンダは何をするんですか?
と聞いたらホンダは機能の上流工程をやる。
と伝えられました。

実際の業務を重ねていくと、サプライヤーの日程管理、パワーポイントの資料作成、
部品の不具合が出た時にサプライヤーに問い合わせる仕事が延々続いていくんだ
と理解しました。

当時、若手だった私の目から見ても
ホンダで技術開発をおこなっていないので、
先輩達、上司の技術力がとても低く絶望したのを良く覚えています。
先輩からホンダに技術力は必要ないと面と向かって言われたことも衝撃的でした。

そんなホンダでパワーポイントを延々と続けるうち、このままで本当に良い
のだろうか?
技術者として全く成長できない。
パワポの紙芝居とサプライヤーの日程管理・問い合わせを定年まで
延々と続けなければいけない絶望感に襲われました。

こんな環境であるので技術開発をおこないたい新卒・中途のエンジニアは
入社数年で大量に辞めていきました。

 検証:

「先輩からホンダに技術力は必要ないと面と向かって言われた」
これは盛り過ぎですね。大企業で上司の評価しかないので評価を超絶気にするのに、
そんな事を表立って言うはずがありません。噂になって呼ばれて面談になるのでは。

「新卒・中途のエンジニアは入社数年で大量に辞めていきました」
これも盛り過ぎですね。実際は広く数えても数人といった所が妥当でしょう。
待遇が良いのに、このご時世、そんなに辞めるはずがありません。

「先進安全や自動運転の機能開発をサプライヤーと呼ばれる部品メーカーに丸投げ」
違う話でしょうね。本当は、先進安全や自動運転ではなく、伝統的で枯れ尽くした
エンジンやシャシーなどの泥臭い部分の機能開発の話しだろうと思われます。
先進安全や自動運転と言っておけば、RT拡散率が上がると踏んでいるのでしょう。

そもそも、先進安全や自動運転のような高度なアルゴリズム開発を部品メーカー
が出来るはずありません。部品メーカーは言われた要求仕様にのみ対応します
から、どうやるかも分からない自動運転など、仮に丸投げしても一滴も進捗せずに
頓挫するだけという前例は、枚挙にいとまがありません。

「ホンダの社員は全く技術開発をおこなっていませんでした」
これは恐らく、正しくは「ホンダの社員は先進安全や自動運転の技術開発を
やろうとしても出来る人が一人もいなくて頓挫状態でした」の表現が適切と
思われます。

これらを踏まえた上で、
パワポの紙芝居・日程管理・問い合わせ」は本当の部分でしょう。
「先輩達、上司の技術力がとても低く絶望した」も本当です。
「パワーポイントを延々と続け、技術者として全く成長できない」本当です。

ではどうやって先進安全や自動運転の機能開発を行うかと言えば、
結局の所、イスラエルのMobileye社、ドイツのBosch社、Continental社など
海外勢の先端企業にお金を払って仕組みを少しずつ教えて貰いあるいは盗んで、
見よう見まねで作りながら、やり方をまるまるパクる、これまで通りの仕組みが
今回も適用される見込みです。

結論:

上記の記事は、ところどころ、盛り過ぎ、あるいは、話のすり替えが散見される
ような感触がありますが、方向性はそのとおりの傾向があると思いました。